南長柄八幡宮【大阪市・北区】
緑あふれる静かな住宅街にひっそりと佇む「南長柄八幡宮」は、大阪市北区の街なかでふと立ち寄りたくなる、あたたかみのある神社です。
その歴史は千年以上。御祭神は應神天皇。小さな金の立像を御神体とするこの神社には、地元の人々から長く親しまれてきた穏やかな時間が流れています。
江戸時代には、鶴がヒナを育てたという微笑ましいエピソードも残され、「鶴の八幡宮」と親しみを込めて呼ばれたそう。和歌に詠まれるほど人々の心に残る神社でした。
ご利益は厄除開運や水難除け。夏には木々の木陰が心地よく、かつては樹齢600年の銀杏が人々の憩いの場となっていたという記録も残ります。
合祀を経て再びこの地に戻ってきた神さまが、今もそっと街を見守っています。都会の中で静けさを感じたいときに、ふらっと訪れてみたくなる“癒しのよりどころ”です。
木々の緑に包まれて。街中にたたずむ南長柄八幡宮
梅田や中津からもほど近い、落ち着いた住宅地にひっそりとたたずむ「南長柄八幡宮」。
にぎやかな通りを少し外れるだけで、まるで時間がゆっくり流れはじめるような、静けさと緑に包まれた場所です。近場のお散歩や、お出かけのついでにふらっと立ち寄りたくなる、そんな神社をご紹介します。
千年以上の歴史がある、地元に愛される八幡さま
南長柄八幡宮は、八幡神こと「應神天皇(おうじんてんのう)」をお祀りする神社で、その歴史はとても古く、古地図にもその名が残るほど。
実はこの神社、昔は「水中八幡宮」とも呼ばれていて、御神体が川から流れ着いたという伝説も。どこか神秘的で、ロマンを感じるエピソードですよね。
ご神体は、たった一寸五分の金の立像
御神体は小さな金の立像で、わずか一寸五分(約4.5cm)という小ささ。でも、その小さな姿に込められた信仰の深さは、とても大きなものだったことがうかがえます。
鶴が子育てした神社?心なごむ“鶴の八幡宮”のエピソード
江戸時代、神社の境内で鶴がヒナを育てたというエピソードが残されています。当時の人々はそれを見て「鶴の八幡宮」と親しみを込めて呼んでいたとか。
「鶴もすをかけすはにうも見られまし 今もなからにつつく人はし」
そんな和歌まで詠まれたというから、ほのぼのとした情景が目に浮かびますね。
夏の日に木陰でひと休み。緑に守られた聖域
かつての境内には、椋・榎・松・楠などの大木が生い茂り、特に樹齢600年ともいわれた大きな銀杏の木は、4人がかりで抱えても足りないほどの太さだったとか。
暑い夏の日には、その木陰が行き交う人々の憩いの場になっていたそうです。
一度は合祀され、そしてこの地へ戻ってきた神さま
明治時代の合祀令により、いったん豊崎宮に合祀されていた南長柄八幡宮ですが、昭和23年に再びこの地へ還ってきました。
現在の本殿は徳川時代末期のもので、今もその佇まいにどこか懐かしさと風格を感じることができます。
おわりに:気軽に立ち寄れる、街の“癒しのよりどころ”
都会の中にありながら、どこかほっとするような空気が流れる南長柄八幡宮。
近くに来たら、ちょっと足を止めてみてください。きっと、昔の人たちが大切にしてきた“静けさ”や“ぬくもり”が、今の私たちの心にもそっと寄り添ってくれるはずです。
- 應神天皇
- 厄除開運
- 水難除け
南長柄八幡宮