橘氏の祖神を祀る鬼門除けの宮 – 五條宮【大阪市・天王寺区】
五條宮【大阪市・天王寺区】
四天王寺の北東、天王寺区真法院町に鎮座する五條宮(ごじょうのみや)。
ご祭神は第30代の敏達天皇。境内の由緒書きによれば、橘氏の祖神をお祀りする、全国でただひとつの神社です。
鬼門除けや火難除けの神さまとしても、古くから遠近の人々に信仰されてきました。境内では、樹齢約500年と伝わる御神木の公孫樹(いちょう)も見どころです。
橘氏の祖神・敏達天皇をお祀りする宮
ご祭神の敏達天皇(びだつてんのう)は、6世紀後半に在位した天皇。推古天皇を皇后に迎えた方で、聖徳太子にとっては叔父にあたります。
源平藤橘とうたわれた名門・橘氏の祖神とされ、由緒書きには、その橘氏の祖神を祀る全国唯一の神社と記されています。
神社の紹介サイトなどによると、四天王寺が建てられたころ、その施薬院・療病院を守るため、医道の祖神とされる五条大神と少彦名命(すくなひこなのみこと)をお祀りしたのが始まりなのだとか。
のちに敏達天皇社と名を改め、東成郡五条村の鎮守になったそうです。
鬼門除け・火難除けの神さま
五條宮は、鬼門除け・火難除けの神さまとしても知られています。由緒書きには、遠くからも近くからも厚く信仰されてきたことが記されています。
四天王寺から見て北東、ちょうど鬼門の方角に鎮座していると紹介されることもあるといいます。
難波京の五條筋、敏達天皇の皇太子時代のお住まいの跡
由緒書きによると、このあたりは、唐の制度にならって造られた日本最古の都・難波京の「五條筋」にあたる場所。
敏達天皇が皇太子だったころに住まわれた跡とも伝わります。
樹齢約500年と伝わる御神木の公孫樹(いちょう)
境内の御神木は、公孫樹(いちょう)の大木です。火難除けや延命長寿の守り神として信仰されてきました。
秋に実るぎんなんは、早生で大粒の黄金色。なかでも三角形の実は、災いから逃れて福を招く縁起物とされています。
昭和60年(1985年)3月に立てられた案内板によると、樹齢は約500年。江戸時代の終わりごろの記録には、高さ約22メートル、幹まわり約5メートルとあり、大和や河内から大阪へやってくる人たちの目印になっていました。
その後、枯れたり倒れたりするおそれが出てきたため、日本樹木保護協会の手で、樹勢を取り戻すための手当てが行われました。
大正時代の古書に残る五條宮【大正の記録】
大正15年(1926年)の『大正大阪風土記』では、「五條神社」の名で紹介されています。所在地は眞法院町で、道案内は上本町九丁目停留場から東南へ100メートル。
当時の社格は村社で、氏地は「東区東平野町毘沙門池東北」。
同書によると、明治30年(1897年)の市区改正までは東平野町の氏神として、天王寺七宮の外にあったとのこと。その後、桃山のあたりが発展するにつれて、神社の東側一帯にも信者を持つようになったと記されています。
九尾のような尻尾で胸を張る狛犬【参拝メモ】
2026年10月に参拝しました。四天王寺さんの北東、南北に通る上町筋が、ちょうど神社の前で折れ曲がるところにあります。
注連柱(しめばしら:境内の入り口などにある一対の石柱)と、金属でできた鳥居をくぐって境内へ。鳥居の正面に鎮座する拝殿でお参りしました。
拝殿の左手にある社務所のチャイムを鳴らし、御朱印をお願いすると、「どうぞ、お入りください」と社務所の玄関へ。
中から出てこられた爽やかな男性に、何種類かある御朱印のご説明を受けましたが、ここはド定番のものをいただくことに。
昔の雰囲気が漂う玄関で、ちょっと懐かしい気持ちになりながら待ちました。
御朱印をいただいて、ふたたび境内へ。
手水舎で水を出している龍は、体はしなやかなのに角がピンと尖っていて、優しさと強さを感じます。
そして、樹齢約500年の御神木のイチョウ。「公孫樹」と書いて「いちょう」と読むことは、知りませんでした。
御朱印にも、イチョウの葉の印が押されています。
さらに、拝殿前の狛犬。よくイメージする狛犬とは見た目が違い、胸を張って座っている体勢で、顔立ちもちょっとだけ面長っぽく、イカつめです。
尻尾も、九尾のように何本にも分かれています。
あとで調べると、銅でできた狛犬なのだとか。足に紐を結び、行方のわからない身内が戻ってくるように願う風習があったそうです。
いつごろ作られたものかは、わかりませんでした。
境内には、ほかにもお社がありました。
お狐さまが脇で見守る「八王子大明神」「福永大明神」「乗光大明神」のお社。
こちらも古そうな狛犬が脇で見守る、「天照皇大神宮」「天満宮」、武道・厄除の神の「八幡大神宮」、開拓・開運の神の「阿遲鉏髙彦根神社」、幸福守護の神の「宇賀御魂神社」、「猿田彦神社」「市杵島姫神社」がひとつになったお社。
そして、もうひとつ小さなお社もありました。
あとで調べると、小さなお社は「光明竜王」の祠として紹介されていましたが、どんな神さまかはわかりませんでした。
なお、ひとつになったお社のうち、天満宮には菅原道真公がお祀りされています。
裏手の道につながるところに立つ注連柱には、「欽明仰聖皇」「治理逢熙運」と彫られていました。
菊の真ん中に「五」と書かれた紋も、目に留まりました。
すごく整っていて、背筋がピンと伸びる感じ。どことなく、ほかの神社とは違う印象を受けた神社でした。
おわりに:橘氏の祖神と御神木に会いに
四天王寺のおまいりのついでに、少し足をのばして訪ねてみたい五條宮。
橘氏の祖神・敏達天皇へのごあいさつとあわせて、長い年月を重ねてきた御神木の公孫樹も、ぜひ見上げてみてください。
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