御利益はどうやって決まる?大阪の神社で見る、神さまの「得意分野」
神社の記事を読んでいると、「御神徳」や「御利益」という言葉がよく出てきます。
「この神社は、どうしてこのご利益なんだろう?」と思ったことはありませんか?
このページでは、大阪市内の神社を例にしながら、神社のご利益がどうやって決まってきたのかを、やさしく紹介します。
「御神徳」と「御利益」のちがい
「御神徳(ごしんとく)」は、神さまがもともと持っている力やはたらきのこと。特定の人だけでなく、広くみんなに注がれるものと説明されます。
一方の「御利益(ごりやく)」は、その力のおかげで、わたしたちが受け取る具体的なよいこと。もともとは仏教の言葉といわれています。
このサイトの記事では、神社の由緒などで使われている言葉に合わせて、「御神徳」として紹介しています。
神さまの「得意分野」から
いちばんわかりやすいのが、神さまがもともと担当している分野から決まるご利益です。
たとえば、海の神さまをお祀りする住吉大社では、航海安全のご利益で知られています。
大阪市城東区の野江水神社では、水の神さま「水波女大神(みずはのめのおおかみ)」をお祀りしています。昔は大雨のたびに水害に悩まされた土地だったことから、水火除難の神さまとして信仰されてきました。
神話のエピソードから
神さまが神話の中でしたことが、わたしたちの暮らしに置きかえられて、ご利益になることもあります。
ヤマタノオロチを退治したスサノオは、厄除けの神さまとして知られています。難波八阪神社では、毎年1月にヤマタノオロチに見立てた大綱を引き合う「綱引神事」が行われ、大阪市で初めての無形民俗文化財にも指定されています。
また、スサノオが奇稲田姫と結婚したときに詠んだとされる「八雲立つ〜」の歌から、結婚を守る神さまとしても信仰されています。八坂神社(海老の宮)では、この御神縁から結婚守護の御神徳が仰がれています。
スサノオを祀る神社は、スサノオを祀る大阪市内の神社のページでまとめて紹介しています。
時代とともに変わることも
同じ神さまでも、時代とともに、人々が願うことに合わせて役割が変わってきたことがあります。
天神さん
大阪天満宮などにお祀りされている菅原道真公は、亡くなったあと、はじめは怨霊として恐れられていました。やがて、生前の学問の才能が見直され、今では学問の神さまとして親しまれています。天神さんを祀る神社は、天神さんを祀る大阪市内の神社のページでまとめています。
えびす様
「えべっさん」で知られる今宮戎神社のえびす様は、鯛と釣り竿を持った姿のとおり、もとは漁業の神さま。このあたりが海岸だったころ、漁師たちは大漁を祈りました。やがて近くに市が立つようになると、その市の守り神としても拝まれ、商売繁盛の神さまとして信仰されるようになったといわれています。
お稲荷さん
お稲荷さんも、もとは稲や食べものの神さま。町が栄えて商いがさかんになると、商売繁盛の神さまとしても信仰されるようになったといわれます。玉造稲荷神社も、商売繁盛の御神徳で知られています。
実在の人物をお祀りする神社
歴史上の人物を神さまとしてお祀りする神社では、その人の生き方や功績が、そのままご利益につながっています。
大阪城の近くにある豊國神社では、豊臣秀吉公をお祀りしています。足軽から天下人へとのぼりつめた秀吉公にちなんで、出世開運のご利益で知られています。
学問にすぐれた菅原道真公が、学問の神さまとして信仰されているのも同じですね。
土地の言い伝えや言葉から
その土地で起きた出来事や、言葉の響きから生まれたご利益もあります。
梅田の歯神社は、御神体の大きな石が淀川の洪水を「歯止め」したという言い伝えから、歯の神さまとして信仰を集めるようになったと伝わります。
福島区の八坂神社(海老の宮)では、地名の「海老江」の「海老」が、仲むつまじい夫婦や長寿の象徴とされています。
見て、ふれて楽しむご利益
形や体験で、ご利益をわかりやすく感じられる神社もあります。
難波八阪神社の大きな獅子殿は、昭和49年(1974年)に建てられたもの。大きく開いた口が邪気を飲み込み、勝運を招くといわれ、学業や仕事の願いを込めて訪れる人も多いそうです。
野江水神社では、水の神さまにちなんだ「銭洗い」ができます。清めた硬貨を使わずにお財布に入れておくと、「種銭」となって新しいお金を呼ぶといわれています。
同じ神さまでも、神社ごとに少しずつちがう
ご利益は、神さまの得意分野や神話だけでなく、その土地の歴史や、そこで暮らしてきた人々の願いが少しずつ重なって、今の形になってきました。だからこそ、同じ神さまをお祀りしていても、神社ごとに少しずつちがう顔があります。
お参りのあとに、その神社の由緒を読んでみると、「だからこのご利益なんだ」と答え合わせができて、もっと神社めぐりが楽しくなるはずです。

