災い除けの神さまにご挨拶 – 不焼宮と呼ばれる八幡大神宮【大阪市・旭区】
八幡大神宮(不焼宮)【大阪市・旭区】
大阪市旭区の通り沿いにたたずむ八幡大神宮(不焼宮)は、飛鳥時代にさかのぼる歴史を持つ、“燃えなかった神社”として知られる小さな聖地です。
厄除けや災難除け、家内安全などのご利益があるとされ、今も人々の祈りに寄り添い続けています。
街なかにいながら心がすっと整うような、やさしい空気に包まれるこの神社。歴史ロマンにふれながら、そっと深呼吸したくなるような時間が過ごせます。
旭区を歩く途中に、ふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか?小さなご縁と心の余白に出会える場所です。
“焼けずの宮”で知られる、伝説のパワースポット。八幡大神宮で心ととのうひととき
大阪・旭区清水の、車が行き交う細い道路に面した八幡大神宮(通称:不焼宮/やけずのみや)。
その不思議な名前の由来には、なんと「燃えなかったお社」という伝説が隠されているんです。
その名の通り「焼けなかった」神社、感動のストーリー
このお社の始まりは、なんと飛鳥時代の天智天皇のころ。
この地にあった宮寺で、住民の藤原氏一族が、祖神の春日大神を土地の守り神としてお祀りしていました。
それから時代は下って室町時代、この古いお社に、あるお坊さんが身を隠したところ、追っ手が火を放ったにもかかわらず、炎は不思議と鎮まり、社は焼けずに無事だったという言い伝えが。
身を隠したのは、融通念仏宗の法明上人のお弟子・実尊(誠阿上人)と伝わります。
師から大切な本尊を託されたことで、兄弟子たちのねたみを買い、追われる身になったのだそう。
固く閉じていたお社の戸は、実尊が願うと自然に開いたのだとか。
火が消えたのを見た追っ手たちは、実尊の徳に心を打たれ、その場で弟子になったといいます。
このエピソードから「不焼宮(やけずのみや)」と呼ばれるようになりました。境内には、この縁にちなんだ「不焼稲荷社」もお祀りされています。
その後、佐太(守口市)に来迎寺を開いた実尊が、守ってもらったお礼に男山八幡宮(石清水八幡宮)の御分霊をこの地にお祀りしたのが、八幡さまのはじまりです。
来迎寺では、住職が代わるたびにこちらへお参りするのが習わしになったそうです。
追っ手が駆けた堤“劔畷”に想いを馳せて
追っ手とお坊さんが駆け抜けたと伝わる道は、下辻から般若寺へと続く堤。
由緒では「劔畷」と呼ばれ、深江の檀徒たちがそれぞれ武器を手に追いかけてきたことから付いた名前と伝わります。
堤の上の道は「剣街道(つるぎかいどう)」とも呼ばれ、地元・旭区の郷土資料でも、この言い伝えが名前の由来として紹介されています。
この土地に息づく歴史ロマンを感じることができます。
例祭は9月15日(日曜日でない時は第二日曜日)。
由緒には、石清水八幡宮にならって般若寺(両国町)に御旅所を置き、お神輿が渡御すると記されています。
静かな町の中にも、長い歴史がぎゅっと詰まっています。
神さまのご縁がぎゅっと詰まった小さな聖地
主祭神の八幡大神をはじめ、春日大神や蛭子大神など、さまざまなご神徳が集まる「ご縁の交差点」のような神社。
村の守り神として、人々の祈りに寄り添ってきた存在です。
村で悪い病が流行ったとき、実尊に祈祷をお願いしたところ霊験があったといわれ、それまでの春日大神を従神に、八幡大神を主神としてお祀りするようになりました。
古い地誌に「三社神社」と記されているのも、このお社のことです。
ご神木のそばで深呼吸すれば、きっと心もすーっと軽くなるはず。
道路沿いにたたずむ、知る人ぞ知るパワースポット
今では街なかの暮らしにとけこむこの神社ですが、「災難除け」「厄除け」「家内安全」などにご利益があるとして、
地元の方からひそかに大切にされ続けています。
ちょっと気分転換したいときや、歩き疲れた午後に。
心がふっと整う、そんな時間をくれる場所です。
大正時代の古書に残る八幡大神宮【大正の記録】
大正15年(1926年)に出た『大正大阪風土記』にも、八幡大神宮が載っています。
当時このあたりは東成区で、所在地は「北清水町」。道案内には、京阪電車の森小路停留場から東へ700メートルと書かれていました。
この森小路停留場は、今の京阪千林駅の前身にあたる駅です。
神社が見守る地域として、清水町・両国町・上辻町・別所町の名前が並んでいました。
右近の橘と左近の桜が迎える拝殿【参拝メモ】
2026年9月に参拝しました。車通りの多い細い道路に面した神社です。鳥居をくぐり、石畳の先にある拝殿で参拝。
木材部分は古そうで、扁額(掲げられている額のような木の看板)らしきものの文字もほぼ消えていて、何が書かれていたのかすら判別できないほどでした。
お参りを済ませて社務所で御朱印をお願いすると、ご年配の男性が「今、御朱印書けるものが出てまして…書き置きなら」とのこと。書き置きをいただきました。
拝殿の前方には「右近 橘」「左近 櫻」と書かれた看板と、それぞれの木が。
あとで調べると、「右近の橘・左近の桜」は、京都御所の紫宸殿の前庭にならって植えられるものなのだとか。ひな人形の飾りでもおなじみの組み合わせです。
社殿の横から御神木の前を通り、裏手に回ると「不焼稲荷社」があります。
その稲荷社の脇にも手水鉢があり、うしろには黒色の小さな狛犬が1体、こっそり隠れていました。正面ではなく、首をひねってこちらを向いた姿で、「見つかっちゃった」みたいなかわいい表情。
参拝を終えて鳥居へ戻るとき、境内を掃除されていた方に「ようお参りでした」と声をかけていただきました。
首をひねった小さな狛犬や、境内でのふとしたやりとり。あったかい雰囲気に触れた神社でした。
近場の“心の拠り所”を見つけてみませんか?
歴史の面影と、あたたかな空気が同居する不焼宮。
日々のあわただしさから少しだけ離れて、自分の心と向き合える場所です。
春夏秋冬、どの季節でも似合う神社時間。
お散歩がてら、ふらっと足を運んでみてくださいね。
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