櫻宮で桜と流鏑馬の物語にふれる神社時間【大阪市・都島区】
櫻宮【大阪市・都島区】
大阪市都島区、春になると桜の名所として知られる櫻宮は、歴史と自然がやさしく調和する川辺の神社です。豊臣家が桜の下で流鏑馬を行ったとも伝わる由緒あるお社で、大阪城の守護神としても信仰されてきました。
その昔、この一帯は桜や菜の花が咲き誇る大阪随一のお花見スポットだったそう。今も“桜の都”の面影を残し、季節ごとの美しさが心をそっと癒してくれます。
境内では、心をととのえる静かな時間とともに、開運や厄除けなどのご利益にもふれることができます。都島区を訪れたら、ふらっと立ち寄ってみたくなる、やさしい魅力あふれる神社です。
桜とともに歩んだ、歴史ある川辺の神社
JR「桜ノ宮」駅から歩いて5分ほど。春になると桜が咲き誇る美しいエリアに佇むのが、櫻宮(さくらのみや)です。
今では近くに高層ビルや道路が並ぶ都会の一角ですが、かつてこの場所は、淀川のほとりに咲く桜と、のどかな田園風景が広がる風流な名所でした。
馬と桜と流鏑馬と。豊臣家にもゆかりあるお社
櫻宮のはじまりは、かつての「小橋・桜の馬場」と呼ばれる地。
桜をこよなく愛した豊臣家は、この馬場に馬を走らせ、花びらの舞う中で流鏑馬(やぶさめ)を披露したのだとか。
目に浮かぶような、華やかな光景ですよね。
ところが元和6年(1620年)、大和川の洪水で社殿が流されてしまいます。
当時の大和川は、今のように堺のほうへは流れておらず、大阪の町なかへ向かう川でした。
流れ着いた先は中野村(今の桜ノ宮駅のあたり)。
その後も水害が続いたため、城代の許しを得て、現在の地へと移されました。
実はこの場所、伊勢神宮ともご縁がある「由緒ある地」とされているんですよ。
大阪城の守護神としても大切にされた神社
昔は「宮田」と呼ばれる地にあった櫻宮は、豊臣家・徳川家どちらからも厚く信仰された、由緒あるお社。
記録の多くは戦火や水害で失われてしまったものの、その分だけ多くの人々に大切にされてきた証でもあります。
また明治42年(1909年)には、毛馬村(今の都島区毛馬町)にあった八幡大神宮が、この櫻宮に合祀されています。
そのいきさつは、淀川神社の記事で紹介しています。
桜と菜の花に包まれて。かつては大阪随一の花見スポット
かつての櫻宮周辺は、春には桜、菜の花が広がる一大お花見スポットとして、文人や旅人たちに愛されてきました。
桜の頃には茶屋が立ち並び、観月の夜には虫の声と川のさざ波。
四季折々の美しさに包まれながら、心穏やかに過ごすことができた、まるで物語のような風景だったそうです。
100年前の桜宮は【大正の記録】
手元に『大正大阪風土記』(大正15年=1926年発行)という古い本があります。そこに櫻宮の項があり、当時の様子が書かれていました。
堤に沿って一段高い社地から、眼下に淀川の流れ。対岸には造幣局が見え、あたりは工場の煙突が立ち並ぶ工業地帯へと変わりつつありました。
そして桜については、昔は名所であったけれど、今はわずか数本が往時を物語るのみ、と。
戦争で街が焼けるよりも前、大正の時点ですでに花の名所の面影は薄れていたようです。
それでも本には、平安時代の歌人・西行と、江戸時代の俳人・嵐雪がこの地を詠んだ句歌が添えられていて、桜宮が長く歌に詠まれてきた場所だということが伝わってきます。
水みくじが楽しい、淡い色づかいの境内【参拝メモ】
2025年10月、南森町から造幣局の前を通り、銀橋を渡って参拝しました。
10月なので桜の気配はまったくありませんが、このあたりは春になると造幣局の「桜の通り抜け」で知られる桜の名所。
川沿いの桜も見事で、平日の昼間もご年配の方がゆっくり花を眺めに来られています。
神社に近づくと、境内から祭囃子の音が聞こえてきました。
あとで知ったのですが、どうやら秋祭禮に向けた練習をされていたようです。
お参りを済ませて御朱印をいただき、せっかくなので「水みくじ」を一枚。
カラフルで可愛らしいおみくじで、水につけると文字が浮かび上がる仕組みです。
手水舎にはビー玉の入ったガラスの桶が用意されていて、そこにそっと浸すと、少しずつ言葉が姿をあらわします。
こんなおみくじがあるとは知らずに訪れたので、思いがけず楽しい時間になりました。
境内のあちこちに使われている色は、どこも少し淡くてやさしい色合い。
桜の季節でなくても、華やかで可愛らしい印象の残る神社です。
今も“桜の都”の面影を残す場所
残念ながら、都市の発展や戦災によって、かつての景観は失われましたが、
かつて大阪市は、このあたりを市唯一の散策地として守り、桜宮公園に桜を移植して名所を復活させる計画を立てていたと言われています。
ちょっと気分転換したいな…そんな時にふらっと立ち寄りたくなる、静かな癒しの空間。
歴史の趣と、自然のやさしさに包まれて、季節ごとに違う表情を楽しめる神社です。
- 天照皇大神
- 八幡大神
- 仁徳天皇
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