歯神社【大阪市・北区】

HEP FIVEの赤い観覧車の裏手、ビルとビルのあいだにひっそりと鎮座する歯神社(はじんじゃ)。

その名のとおり、歯の神さまをお祀りする、全国でも珍しい神社です。
歯の痛みに悩む人、歯科のお仕事に関わる人が、梅田の喧騒のなかでそっと手を合わせていきます。

綱敷天神社の末社で、御本社(神山町)、御旅社(茶屋町)とあわせて三社から成る神社のひとつ。
買い物の途中に、ふらっと立ち寄れる“街かどの神さま”です。

観覧車の裏に、こんな神社が

梅田でいちばんにぎやかな場所のひとつ、HEP FIVEの赤い観覧車。
その裏手、JRの高架下にある「ねぎ焼きやまもと」の裏側に、驚くほど小さな神社があります。

それが「歯神社」。
うっかりすると通り過ぎてしまいそうな佇まいですが、実は綱敷天神社の末社として、長く信仰を集めてきたお社です。

はじまりは、お稲荷さんでした

歯神社のはじまりは、この地にあった巨石。
そこに神さまが宿っておられると信じた地元の人たちが、お祀りしたことに由来します。

のちにその神さまは、お稲荷さんとしてお祀りされるようになりました。
御祭神は歯神大神。お稲荷さんの正式な神名である、宇迦御魂神(うかのみたまのかみ)です。

つまり中世の頃の歯神社は、街のあちこちにあるお稲荷さんと同じお社だったんですね。

「歯止め」から「歯の神さま」へ

転機は、数百年前に梅田一帯を襲った大洪水でした。

あわや水没かと思われたそのとき、御神体である巨石が流れてくる水を歯止めし、梅田を守ったと伝わります。
この故事から「歯止めの神さま」として慕われるようになりました。

そして、いつの頃からか「歯止め」の語呂が転じて「歯痛止め」に。
歯に悩む人の神さまとして知られるようになりました。

近くを池田街道などの街道が通っていたこともあって、その評判は遠くまで届いたそうです。
「歯の苦しみが和らいだ」「子どもによい歯並びの歯が生えた」「よい歯医者さんに巡り会えた」——そんな話が伝わっています。

戦火も“歯止め”した?

先の大戦のとき、大阪は大空襲に見舞われ、梅田一帯は火の海となりました。
けれど、この歯神社までは火が届かなかったのだそうです。

水を止め、火も止めた。
そんな言い伝えが、今も残っています。

明治に「ちゃんとした神社」へ

長いあいだ地元の人たちだけでお祀りしてきた歯神社ですが、明治のはじめ頃、きちんとした神社としてお祀りしたいという思いから、綱敷天神社の飛地末社となりました。

そして、いつしか「歯神さん(はがみさん)」と、親しみを込めて呼ばれるように。

痛いところをさする「なで石」

本殿の手前に、小さな丸い石がちょこんと置かれています。

これが「なで石」。
御神体である巨石のかけらともいわれ、この石をなでてから歯の痛いところをさすると、痛みが和らぐのだそうです。
お参りに来た方は、みなさんなでていかれます。

何度も前を通っていたのに【参拝メモ】

2026年9月、御旅社で御朱印を書いていただいているあいだに、お参りしてきました。

この界隈は学生時代を過ごした場所なので、歯神社の存在自体は知っていました。
ただ、何度も前を通っていたにもかかわらず、ここが「歯」にまつわる神社だということは、まったく知りませんでした。

まわりのお店は建て替わり、テナントも入れ替わっていく街のなかで、このお社だけは変わらずそこに鎮座しています。
こじんまりとした鳥居と祠。そして注連縄(しめなわ)がかけられた、一風変わった形の「なで石」。

お参りを済ませて、なで石をなでなで。
今も昔も行き交う若い人たちを、ここからそっと見守ってこられたんだなと思いました。

6月4日は「歯ブラシ感謝祭」

毎年6月4日の午前11時から、例祭「歯神祭」が斎行されます。通称「歯ブラシ感謝祭」。

参拝者の一年の歯の健康を祈る神事のあと、古くなった歯ブラシを神さまにお返しし、新しい歯ブラシをいただくという行事があります。
歯ブラシは業界の組合や企業から奉納されたもの。整理券をお持ちの先着100名までです。

小さなお社なので、祭礼はすべて立ったままの参列。
それでも毎年、歯の健康を願う人たちが集まります。

歯神社で行われる祭典は、この6月4日の例祭だけ。無人のお社なのです。

なお、この日は御朱印の授与がなく、茶屋町の御旅社の授与所も終日お休みとなります。

お守りと御朱印は、御旅社で

歯神社には「歯神守」という、この神社ならではのお守りがあります。
令和8年(2026年)には歯神社の絵馬も新しく作られ、社殿前に絵馬掛所が設けられました。

ただし歯神社は無人です。
お守りや御神札は、茶屋町の綱敷天神社 御旅社でお受けする形になります。土日の午後であれば、おおむね神職の方がいらっしゃるそうです。

なお、神山町の御本社では授与していないのでご注意を。

場所がわかりにくいので、お出かけの前に地図でご確認を。
公式サイトでも、電話での道案内はご遠慮いただきたいとご案内されています。

おわりに:買い物ついでに、歯の健康を願って

歯が痛いとき、治療がうまくいくように。
あるいは、今の健康な歯がこのまま続くように。

「歯磨きは己の心磨き」。
歯神社に伝わるこの言葉を胸に、梅田でのお買い物の途中、観覧車の裏へ少し足をのばしてみませんか。

主祭神 [神社の中心的な神様]
  • 歯神大神(宇迦御魂神)
御神徳 [神様から授かる恵みやご利益]
  • 歯痛鎮静
  • 健歯護持
  • 歯業成就
  • 歯止祈願
  • 商売繁盛

 

開運

歯神社

住所:大阪府大阪市北区角田町2-8
アクセス:HEP FIVE観覧車の裏手、JR高架下「ねぎ焼きやまもと」の裏側
電話番号:06-6371-1586(綱敷天神社 御旅社)
公式HP:歯神社


Googleマップで開く

 
 

神社巡りをされる方へ|御朱印帳の選び方ガイドはこちら