阿倍王子神社(王子神社)【大阪市・阿倍野区】

大阪市阿倍野区、交通量の多い通りに面して鎮座する阿倍王子神社。長い歴史とやさしさに満ちた神社です。

そのはじまりはなんと仁徳天皇の時代ともいわれ、平安期には熊野詣の「九十九王子」に数えられた由緒あるお社。

北へ約80メートルの場所には、飛地境内社として、陰陽師・安倍晴明の誕生地と伝わる安倍晴明神社もあります。

ひとり時間を楽しむ日にも、誰かと語らいながらのお散歩にも。やわらかな空気に包まれた神社で、心にそっと寄り添ってくれるご利益を感じてみてはいかがでしょうか。

阿倍野のやさしい神さま、「阿倍王子神社」へ

大阪・阿倍野。賑やかなまちの一角に構える「阿倍王子神社(あべおうじじんじゃ)」は、通称「王子神社」とも呼ばれる神社です。
通りがかりにふと足を止めたくなる、やわらかな空気に包まれた場所。どこか懐かしく、心がふっと緩むようなひとときをくれます。
お祀りしているのは、伊弉諾大神・伊弉冊大神・素盞嗚大神・品陀別大神(八幡大神)の四柱です。

はじまりは、遥か昔の皇族の祈りから

神社の始まりはとても古く、なんと仁徳天皇の時代ともいわれています。あるいは、この地域を本拠地にしていた「安倍氏」によって建てられたという説もあるそう。
平安時代には、熊野詣でで知られる「九十九王子(くじゅうくおうじ)」のひとつとして、法皇や上皇、女院をはじめ多くの人々の祈りが捧げられ、江戸時代には「熊野第二王子」と呼ばれました。
神社の西側には、熊野詣での人々が歩いた「もと熊野街道」が今も通っています。
熊野の王子社が元の場所に残っているのは、大阪府内ではここだけです。
場所を移してお祀りされている王子社には、熊野詣の出発点だった堀越神社の「熊野第一王子之宮」があります。

天長3年(826年)に疫病が流行したときには、あの弘法大師・空海が天皇の命を受けてこの神社で祈祷を行い、疫病をしずめたことから「痾免寺」の額を賜ったと伝わります。長い歴史のなかで、病気平癒や厄除けのご利益を授けてくれる神社としても信仰を集めてきました。

境内には、三本足の霊鳥・八咫烏(やたがらす)をかたどった「願かけ御烏」も。碑によると、仁徳天皇の夢に熊野の神のお使いが現れ、調べさせると阿倍の中州の老松に三本足の霊鳥がいたことから、熊野王子の大宮を造ったと伝わります。

街とともに生きてきた、地域のよりどころ

時代の流れとともに、戦乱や制度の変化などさまざまな転機を迎えながらも、阿倍王子神社は地元の人々の力で守り継がれてきました。
昭和42年(1967年)には社殿の造営が行われ、令和元年(2019年)には拝殿・幣殿・透塀や、境内のお社の本殿が国の登録有形文化財になりました。今もなお地域の神さまとして人々を見守り続けています。

飛地境内社の安倍晴明神社

阿倍王子神社には、境内から離れた場所にお祀りされている飛地境内社として、安倍晴明神社があります。陰陽師・安倍晴明公の誕生地と伝わり、「葛之葉子別れ」の伝説や産湯井の跡などが残る神社です。
くわしくは、安倍晴明神社の記事で紹介しています。

大正時代の古書に残る阿倍王子神社【大正の記録】

大正15年(1926年)に出た『大正大阪風土記』にも、この神社が載っています。当時このあたりは住吉区で、所在地は「阿部野町」。神社名も「阿部王子神社」と、今とは違う字で書かれていました。

神社が見守る地域は、このあたり一帯と、天王寺町のうち「天下茶屋天神」の氏地以外の土地。同じ本に載る天神ノ森天満宮と、地域を分け合っていたことがわかります。

4本のくすのきの神様に守られた境内【参拝メモ】

2026年10月に参拝しました。車通りの多い道路に面していて、鳥居のすぐ後ろには、一見するとお役所のような、大きく横に長い社務所が建っています。その前というか中というかを通る形で、境内へ。
すると、すぐにどどんと華やかな雰囲気の社殿が鎮座されています。

まずは拝殿でお参り。戻るかたちで社務所に寄り、御朱印をいただきます。待っている間にふと見ると、「やたがらすおみくじ」が。
陶器製の八咫烏を、我が家へお迎えいたしました。

再び境内へ。社殿の隣には八咫烏大神が祀られている「御烏社」があり、お社の中には、凛と佇む八咫烏大神がおられます。

続いて「葛之葉稲荷大明神」のお社。「葛之葉稲荷大神」をはじめ、9柱の神様が祀られているようです。
あとで調べると、葛之葉は、安倍晴明の母とされる白狐の名前。
葛之葉稲荷神社の本殿は国の登録有形文化財で、もとは明治40年(1907年)に合祀された男山八幡神社の本殿だった建物なのだとか。
9柱とも、お稲荷さんの神さまだそうです。

ほかにも、「春夏冬社」(秋だけがないので「あきないしゃ」と読むようです)や、「罔象女神(みつはのめのかみ)」「高龗神(たかおかみのかみ)」「闇龗神(くらおかみのかみ)」の3柱をお祀りする「水神社」があります。

そして、少し細くなって裏の鳥居へと続く場所の両端には、「多真能木霊神」「茂杜能木霊神」「汰紀能木霊神」「波多能木霊神」の4柱(4本)のくすのきの御神木の神様が、ご立派に鎮座されています。
その先、裏の鳥居の前を通る道が「もと熊野街道(旧熊野街道)」で、石柱と案内板がありました。

表通りは車通りが多いのに、しっかりした社務所に守られて、境内の立派なくすのきの神様が、ゆっくりした時間を作ってくださっている。そんな印象の神社でした。

大人のひとり散歩にも、親子のおでかけにも

阿倍野のまち歩きにちょっと寄り道。駅からも歩いてすぐなので、お仕事帰りやお買い物ついでの立ち寄りにもぴったりです。
裏手を通るもと熊野街道をたどって、まちめぐりとあわせてのんびり楽しんでみてください。

歴史にふれ、願いごとをそっと伝え、風に揺れる木々に癒される。そんな「自分だけの時間」が、きっと見つかります。

主祭神 [神社の中心的な神様]
  • 伊弉諾大神
  • 伊弉冊大神
  • 素盞嗚大神
  • 品陀別大神
御神徳 [神様から授かる恵みやご利益]
  • 厄除開運
  • 家内安全
  • 病気平癒

 

開運

阿倍王子神社(王子神社)

住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野元町9-4
アクセス:阪堺上町線東天下茶屋駅南200m
社務所受付時間:9:00~17:00
電話番号:06-6622-2565


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